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2006. 1.26.Up Dated.
ライブドア事件の影響
  
ライブドアの証券取引法違反容疑によって株式市場は少なからず混乱をしましたが、JREITへの影響はほとんどないようです。
それでもライブドアに強制捜査が入った翌日のJREIT株価は若干下がったようですが、その後は何事も無かったように好調な株価を付けています。
JREITの仕組みを見れば、投資の為の器である投資法人に粉飾決算等が施される可能性が小さく、又、そのような事をする動機もメリットも投資法人の執行役員にはありませんが、更に万全を期する為には、投資法人の執行役員と資産運用会社の役員の兼任を禁止するのも一つの方策です。
元々、投資法人の執行役員と資産運用会社の役員の兼任を認めたのは執行役員の確保が困難であった為と言われていますので、そろそろ経過措置である兼任方式を改めても良い時期に来ていると思います。
JREITにとって最も心配なのはオリジネーターとの利益相反ですが、オリジネーターの影響力は資産運用会社に反映されますから、資産運用会社の役員と投資法人の執行役員が同一人物である場合、オリジネーターの意向が働き易くなります。
逆に、執行役員を独立させた場合、現行の報酬ではリスクを負う気持にはならないでしょうから、オリジネーターのメリットを考慮する事はなさそうです。
ライブドアの件でも言われているようですが、不正の抑止には何よりも予防が重要ですので、投資法人執行役員の兼任制はこれを機会に見直すのも良いと思います。
今回のライブドア事件では、市場関係者である東証、そして管轄行政庁である金融庁を飛び越して、直接、東京地検が動きましたが、その容疑は粉飾決算や偽計取引と言った、正に市場操作に関する事ですので、東証も金融庁も面目を潰しました。
更に、主幹事証券会社や監査法人も見逃していたようですので、市場関係者の不正抑止力の低さも露呈しました。
このような現状を見れば、市場関係者に不正抑止力を期待するのは当分の間は難しいと考えられますので、先ずは、規制を合理的に改正するというのが当面必要な施策だと言えます。
JREITは未だ28銘柄で、株式市場と比べれば充分に目の届く数ですが、JREITのプロセスの大半は不動産取引で、証券市場関係者にとっては不得手の分野ですので、規制を先手に行わなければ抑止の方法はなさそうです。
又、今回の事件では投資家側に立つ専門家の不在が不正行為の継続と発覚を遅らせ被害を大きくした面もあります。
本来であれば、強制捜査という最後の手段に入る前に、専門家からの疑念指摘等により投資家に注意を喚起して、投資家も慎重になればここまで大きな被害にはならなかったかも知れません。
不法行為は芽のうちに摘み、種の段階で思い留まらせるのが最も上策ですので、JREITは、是非、このような方向で成長していく事を望んで止みません。