トップ
2005.12.15.Up Dated.
保有物件の建替えについて
  
JREITが保有する物件を取り壊して再建築する例としては、今年の10月に発表された日本リテールファンド投資法人の「エスキス表参道」(平成18年2月着工予定)がありますが、11月30日に既存テナントの退去が発表された日本ビルファンド投資法人保有の「JFEビルディング」(東京の大手町所在)にも建替の可能性が生じました。
日本ビルファンドからは、テナント退去後の処置についての発表がありませんので一方的な推測にはなりますが、筆者は、以前より本物件の再建築について興味を抱いていて、その再建築スキームについても3年前に言及しています。(エスキス表参道とは異なる方式)
この物件は、大手町の交差点角というオフィスビル立地としては一等地にあり、以前よりJFEの本社として使用されていたビルです。
抜群の立地にありながら、本社ビルとして1棟貸ししていましたので、賃料もこの地区の相場よりはやや低めに設定されていた模様ですので、もし再建築されれば、日本ビルファンドの収益力が上昇する期待もあります。
但し、5,000億円を越える資産規模を有する日本ビルファンドにとっても、約720億円の簿価の物件を、再建築の為に、一旦、手離すには綿密な計算が必要となります。
又、賃料収入で見ても、この物件は年間42億円を稼ぎ出しており、直近決算期の営業収入の13%も占めていますので、再建築中の減収は避けられません。
従って、投資法人にとって当面の運用を重視して引き続き後継テナントを探すか、それとも将来の資産価値上昇の為に、一時的な減収を覚悟して再建築に望むかという選択になります。
果たしてどちらを選択するかは分かりませんが、JREITにとっては、一等地にあるビルが建替えにより最新の大規模ビルに生まれ変わり、それがJREIT保有物件になるのは好影響をもたらしますので、一時的な減収に怯えて、先送りするよりは上策のように思えます。
更に欲張れば、日本のオフィスビルを代表するような建物を建築して欲しいとも思います。
大手町・丸の内地区では新築オフィスビルが相次いでいますが、日本を代表するような建築物は見当たりませんので、この物件を利用してJREITがチャレンジしてくれればとも期待します。
JREIT投資家とっても、配当金よりも、日本を代表するようなオフィスビルに投資しているという満足感の方が大きいとも思いますので、ビルの収益性だけを優先するのではなく、社会資本としての価値を重視した設計を期待したい処です。

2001年に誕生したJREITも、ようやく初期段階を脱して、新しい段階に入りつつありますので、JFEビルの建替えがJREITのエポックメーキングになるようなプロジェクトとして生まれ変わるようになる事を期待して、今後の推移を見守りたいと思います。