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2005.12. 8.Up Dated.
上場延期について
  
11月24日に関東財務局に有価証券届出書を提出し、12月21日に東証のJREIT市場への上場を予定していたエルシーピー投資法人が、急遽、12月5日に上場延期を発表しました。
新聞報道等では、千葉の耐震設計偽装問題との関連のように説明されていますが、必ずしも、今回の偽装物件が含まれているという事ではなく、市場環境等を総合的に勘案して有価証券届出を取り下げたという事のようです。
この投資法人は、当初は仙台を中心として資産組成を行うのではないかという観測がありましたが、その後、地方の中堅デペロッパーを参集して全国主要都市を投資対象地域にしました。
投資対象用途は、レジデンス、シルバーマンション、オフィスビル、商業施設、ホテル等と幅広く設定した総合型銘柄を目指す予定でした。
オリジネーターは米国上場REITを立ち上げたThe LCP Group LPと極東証券を主体とし、地方の中堅マンションデペロッパーを加えた体制になっています。
上場までのスケジュールは、12月5日に仮条件を提示、12月6日〜12月12日にブックビルディングを行う予定でしたので、上場延期の決定は直前で行われたと考えられます。
ここまで体制を整えた上で、上場延期とするのは大変なのではないかと思いますが、既に、大口投資家等への説明は行っていたと考えられますので、投資家の感触が良くなかったのではないかとも推測されます。
今の市場環境では、上場後の株価の公募割れも覚悟しなくてはなりませんが、寄り合い所帯的なオリジネーターでは、上場後の支援も難しく投資法人の継続性にも不安が残りますから、見方によっては、賢い選択だとも言えます。
今年は13銘柄の上場がありましたが、その半数以上が上場後に公募価格割れを起こしていて、JREIT市場も甘くはないという事が分かりましたので、上場予備軍は上場戦略の見直しを図らざるを得ません。
筆者は、以前より、JREIT進出は慎重に考えた方が良いと話しており、私募ファンドにはJREITに出てくるメリットはありませんとアドバイスしていましたが、昨年までは、そのような見方をする人は少なかったようです。
今回のエルシーピー投資法人のオリジネーターとなったデペロッパーにも、昨年に、そのような話をして、単独でのJREIT進出を断念した方が良いとアドバイスしましたが、この状況は、来年も続くと予想しています。
これからJREITに進出するには、上場戦略を充分に練って、市場に受け入れられる見通しを立ててからではないと難しいと思います。
その意味でも、今回のエルシーピー投資法人の上場延期は関係方面にJREITとは何かという事を改めて考えてもらう良い機会になったのではないかと思います。