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2005.10.20.Up Dated.
新興銘柄の試練
  
今年の7月からの新規上場組である7銘柄が苦戦していて、これら新興銘柄の大半の株価が公募価格割れを起こしています。
元々、JREIT投資では日々の株価に神経質になる必要もありませんが、あまりの市場評価の低さに失望している方もいると思います。
新興銘柄に対する市場評価の低さは、オリジネーターのブランド力だという見方もありますが、これも銘柄の実力判断が難しい故の便宜的な尺度でしかなさそうですので、必ずしも株価が安定する方向には向かいません。
最近の新興銘柄の特徴としては、
  @ JREITの好調を見てブーム的な感覚で進出してきた所が目立つ
  A 私募ファンドの出口としてJREITを利用している
等が挙げられますが、中には、数年前から準備していた銘柄もありますから、全てがそうだとは言えませんが、総じて、新興銘柄の資産運用会社に共通しているのは、事前の研究不足が目立つ事です。
既に、多くの既存銘柄が上場していますから、これらの銘柄を研究して、新興銘柄にとって必要な事は何かを充分に練ってから上場すれば、もう少し違った評価になったかも知れません。
オリジネーターにとって、JREITの仕組みと今迄の勢いを見れば確かに魅力はありますが、それは表面的な見方でしかありません。
実際にJREITに進出するとなると、オリジネーターは人・物・金の面で多大な支援をしなくてはなりませんが、何よりも重要な点は、JREITという商品の本質を充分に理解して支援するという事です。
新興銘柄では、この辺りが曖昧なままで上場した銘柄も目立ちますので、現在の市場評価は止むを得ないとも言えます。
然しながら、既に上場したのですから、今更後には引けませんから、新興銘柄にとってはこれからが正念場になります。
何故、市場評価が低いのか、どういう点が改善可能なのか、何をアピールすべきか等を堀下げた上で、一つ一つ展開を行わないと、現状の評価のままでは存続自体も揺らぎます。
その意味では、新興銘柄にとっては、正に、正念場ですが、逆に、市場にとっては良い方向です。
多くの銘柄がひしめき、お互い競争をし、工夫を凝らし、投資家にアピールするという状況が続くのが自由市場の健全な姿ですので、今のJREIT市場は正常な状態です。
願わくは、こういう状況の中から実力で既存銘柄を凌駕する新興銘柄が育って欲しいと思います。
JREITの各銘柄を見ても株価の差ほどの実力差がある訳ではありませんから、今の距離はそれ程遠くはありません。
又、過去を見ると日本ビルファンド投資法人や日本リテールファンド投資法人も市場評価の低さをバネにして、成長してきた銘柄ですので、今の新興銘柄にも、その気力と努力が欲しい所です。