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2005.10. 6.Up Dated. |
長期金利の上昇について |
10月4日に長期金利の代表的指標である新発10年物国債の利回りが1.560%まで上昇しました。 日経新聞によると、景気回復を背景にして日銀の量的緩和政策が解除される見通しによって上昇したとありましたが、これは国債の主たる買い手である金融機関に流れる資金が細る事で国債の買い意欲が低下するとして、利回りが上昇(債券価格は下落)したという意味です。 今のところ、日銀の量的緩和政策の解除時期は未定ですが、早ければ年明けという観測もありますので、そろそろ金融環境の変化も視野に入れる時期かも知れません。 一方、JREITの株価も長期金利の上昇によって下落していますが、ここのところ、JREITの株価はやや乱高下していますので、必ずしも長期金利だけの影響だとも言えません。 大半のJREITは、金利上昇を見込んだ財務内容へのシフトを完了していますので、直ぐに影響はありませんが、今後の投資法人債の発行金利が高くなる可能性があり、長期金利の上昇が続けば財務戦略の見直しも必要となります。 反面、量的緩和の解除によって金融機関の資金の過剰流動性が減少すれば、私募ファンドに流れていたノンリコース・ローンの残高増加に歯止めが掛かる事で、高騰していた収益用不動産価格が調整されるという期待も持てます。 JREIT各社の保有資産のNOI利回りを見ると、レジデンス銘柄で4%台前半、総合型銘柄で6%程度となっていて、収益用不動産の価格上昇が続けば、更に低下してしまいますので、JREITにとっては多少の金利上昇よりも、収益用不動産の価格上昇を止め、低下方向へ向わせる事の方が重要です。 又、金融と不動産の関係で見れば、膨れ上がった不動産融資を不良債権化せずに、ソフトランディングさせるには、不動産市場での積極的な買い手の存在を支えなくてはなりませんから、JREITが引き続き成長する事が必須となります。 こうなると、JREITに大きなダメージを与えない程度の金利上昇を前提として量的緩和を解除し、収益用不動産価格の上昇を抑え、更には、取得キャップレートの改善をもたらすような金融政策が求められます。 今日の状況は、従来の金融政策にはなかった要素も考慮する必要があり金融政策の関係因子が増えていますので、金融当局の知恵の使い処ではないかと思われます。 |