<個人>にとってのREIT投資スタンス
個人投資家という区分は、ある意味では非常に抽象的な捉え方となってしまいますので、本サイトでは次の定義で捉えた個人投資家を対象とさせて頂きます。
<本サイトにおける「個人投資家」の定義>
投資行為を日々の相場を意識した銘柄売買と限定している方ではなく、それぞれの商品特性に応じた投資行動を前提にしている方・具体的にはJREITへの投資目的を【配当重視】としている個人投資家

予想配当率

個人投資家にとっては、JREITにどの程度の配当率を期待するかが、JREIT投資を行うか否かの目安になります。

人によって投資利益は高いほど良いと思っているかも知れませんが、投資におけるリターンとリスクは表と裏の関係ですので、高いリターンはリスクも大きくなります。
JREITは銘柄によって配当率もかなり上下しますが、オーソドックスな見方としては、10年物長期国債の配当率(長期金利の目安にもなっている)との比較で考えるのが一つの方法です。
現在のJREIT市場を見ると、多くの投資家がリスクに対してリターンが適正と考えているのは10年物長期国債の利率+0.5〜1.0%だと考えられます。
仮に、国債の配当率を1.6%だとすると、2.1〜3.6%程度の配当率を出す銘柄がJREITでは標準的だと考えておく必要があります。
この配当率より高い銘柄は、その分リスクがあると市場から判断されていると言えますので、高配当率に目を奪われて銘柄選別を行うと株価の下落によって、総合リターンが低下してしまう恐れがあります。


安全性

投資の絶対金額が大きくはない個人投資家にとっては、目先の配当率よりは、元本の安定性と一定水準の配当率が継続することが重要です。
日々の株価を見ながら売買を繰り返して一喜一憂したりする投資は、本来のJREIT投資ではありませんし、ミドルリスク型の投資商品としては適当ではありません。  
日本では、投資と言うと、株式投資で行われるような売買益の追求という考え方が主流ですが、投資とは投資元本に見合うリターン(配当)を考えながら行う資金提供行為です。  
本来、相場師と投資家は異なりますが、日本では投資と言うとハイリスク・ハイリターンの株式投資しかなかったことにより、投資行動を相場師的に捉える傾向にあります。  
ローリスク・ローリターンの債券市場ですら、売買を頻繁に繰り返してしまう投資家も存在しますので、日本の投資市場の未成熟度が感じられます。  
ミドルリスク・ミドルリターン型のJREITは、株式と債券の中間に位置する投資商品ですので、実は投資家にとって難しい面があります。
ミドルということは、特徴がはっきりしていないことになりますし、曖昧な部分も多いということに繋がります。
それだけに、よく吟味した上で投資行動を決定する必要もありますが、投資対象の中長期の安定性を見るには、専門知識や分析力も必要となりますので、個人のレベルでは難しいのも確かです。
従って、専門家のアドバイスを受けながら、投資判断を行うのが良いのですが、JREITに関してアドバイスを行える専門家が少ないのが現状ですし、また、投資判断に必要な情報が簡単に入手できる訳でもありません。

本サイトでは、このような情報提供を行いますが、詳細はそれぞれの項目の分析をご覧頂くとして、概括的に申し上げると、現在上場している銘柄については、純資産価値に対する配当率が年4%を下回る可能性は低いと考えられます。
現在の不動産市場を見ると、JREITが保有している不動産の平均的利回りは年3%前後まで下がっていますので、不動産市場の平均パフォーマンスに比べてJREITのそれは1%程度高く維持されています。
また、どの銘柄も最近では収益の安定性を重視した物件取得を進めていますので、安定度は増して来ていると言えますので、不動産投資としての安全性はJREITが最も高くなっていると言えます。

成長性

JREITの成長性は、物件の追加取得による外部成長と、既存保有物件の賃貸収支改善による内部成長の2つの面で語られますが、前述したように、不動産市場では不動産価格が上昇(収益率の低下)していますので、外部成長は難しくなっています。
一方、オフィスビルマーケットの好転(賃料上昇と空室率の減少)によって内部成長に投資家の関心が移っています。
オフィスビルの需給動向から見ると、この先2年程度は現在の状況が続くと予想されますので、オフィスビル保有銘柄への期待が高まっています。
然しながら、JREITを中長期投資として考えるならば、現在のオフィスマーケットの動きだけで見るのは不足です。
好況の後に訪れる調整も視野に入れて銘柄の選別も行う必要がありますので、JREITの成長性の判断は簡単ではありません。
また、投資市場の動きも銘柄の株価を大きく変動させます。 JREITへの投資資金の流入量が増えれば銘柄の収益成長性とは関係なく株価を押し上げますので、見かけの成長が行われます。
JREITを客観的に見れば、当分は、資金流入による株価上昇という表面上の成長が続きそうですので、成長性を見る際は、個別銘柄の内容を分析した上でのポテンシャルを計るという点を押さえておくのが、現時点の成長性判断のポイントとなります。

以上、個人投資家にとってJREITは魅力的ではありますが、かなり手強い投資になりますので、事前の下調べが必要です。 より安全に確実な投資をと考える個人投資家にとって、JREITは有力な投資候補ですが、銘柄選別が鍵を握ります。 41銘柄の中から一定数に絞り込み、その中から、自己の投資目的に沿った銘柄を選び出せれば、失敗は少なくなりますので、このような視点で本サイトをご活用下さればと思います。


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