<一般事業法人>におけるREIT投資スタンス
企業にとって、投資行為は会計上は営業外収益活動になりますが、JREITも期中の流動資産及び内部留保の運用先として活用することになります。  
一般に、企業の財務運用は保守的な特徴を持っていますので、株式等のハイリスク・ハイリターン商品を運用先として選択するには無理があります。
一方、国債等の元本が実質的に保証されているローリスク・ローリターン商品は、配当利回りが低く、配当金だけでは営業外収益にはほとんど貢献できません。
最近では、債券市場も整備され国債の売買も増えましたので、低利回りの国債を売買することで総合利回りを向上させるという手法も目に付きますが、長期金利が上昇すれば、売却損が発生してしまい、総合収益はマイナスに転じてしまいます。
そこで、新たにJREITを運用先として捉えた場合、どのように考えれば良いかを検証したいと思います。
手元流動性資金の運用先として

期中の手元資金の運用先としては、まず十分な流動性が確保されていることが必要です。
次に、元本が安定していて、換金時にショートしないという条件も挙げられます。
この点で見ると、債券は流動性はありますが、配当利回りが低すぎて市場売買価格によってショートする可能性があります。
一方、JREITの流動性は、現在の市場の時価総額6兆円規模を前提とすると、10億円/日以下ではないかと考えられますので、運用金額によってはメインの運用先としては不適切ですが、工夫をすることでもう少し大きな金額の運用先として考えることができます。
JREITの配当利率は大凡年2%〜5%に分布しており、配当金も年2回支払われますので、期中の資金需要を短期借入金で賄った場合、利鞘が生じます。
従って、財務運用の姿勢を少しアクティブにして手元資金の一部をJREITに回し、短期の資金需要を借入れによって賄えば、営業外収益に貢献できます。

一方、問題となるのは換金時に元本割れを起こさない価格と銘柄の選択です。
「どの銘柄をいくらで買えば良いのか」を見極めることが、JREITの短期運用の要諦となります。
最近の市場の値動きを見ると、上位銘柄では純資産価値(NAV)に対してのプレミアムが拡大傾向にありますので、株式市場や債券市場の動向によってJREITの市場価格の変動幅が大きくなる可能性がありますが、本サイトでは、JREIT市場の月次レポートが掲載されていますので、これをご参考としながら投資判断をして下さい。

内部留保金の運用先として

企業にとっての内部留保は将来の設備投資資金や業績低下時の配当原資になりますが、最近では融資返済や自社株消却にも使われています。
本来、株式会社の場合、内部留保は株主の資産だとも考えられますので、内部留保を定期預金等に積み上げておくだけでは、株主の期待に応えられません。
考え方としては、本業の収益に対する総資産利益率と同等の運用益が上げられることが望ましいのですが、現状の運用環境では総じて低い運用利回りになっています。

仮に、JREITを運用先として選んだ場合、前述したように配当利回りは年2%〜5%ですので、企業の総資本利益率と比べても遜色のない数字になると思われます。
もちろん、内部留保の全てをJREITで運用することはありませんから、平均利回りは低下しますが、JREITを組み入れることによって有利な運用ができることも確かです。
但し、この場合、長期安定的な銘柄を運用先として選ぶ必要がありますので、短期運用に比べてより銘柄の実態を把握し、継続的なウォッチが必要となります。

本サイトでは、JREITの特徴を長期安定型商品としての視点からの分析を多く提供しますし、継続的なモニタリングデータも作成致しますので、ご活用頂けば運用先の選択と継続的把握が可能となります。


Copyright(C) SYC Inc. All rights reserved.